【感想(本)】岩田さん: 岩田聡はこんなことを話していた。

岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。

岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。

亡くなられてしまった任天堂元代表取締役社長である岩田聡さんについて、宮本さん(マリオの生みの親)や糸井さん(コピーライターの、というべきか、MOTHERシリーズの生みの親というべきか)が語ったり、岩田さんが話していた内容を抜粋したりした本。

読み終えてみて、改めて、やっぱり岩田さんはすごいなあ、としみじみ思いましたね。とても聡明かつ純粋で、とにかく謙虚で、そして人を巻き込んでいく力がある。

自分にとって岩田さんの思い出というと、やっぱり「社長が訊く」シリーズですかね。ご存知の方はどれぐらいいるだろう。
特定の作品やハードの発売前後に、その制作に関わった中心人物に対して任天堂社長である岩田さんがインタビューを行うというもので、普段は訊くことが出来ない制作の裏話を知ることができるんでとても面白かったんですよね。基本的に開発秘話大好き人間なので、自分が遊んだことのないゲームでも結構じっくり読んでしまったり。
なかなか表に出ることはない開発陣の話を聞けるのももちろん面白いんですが、たまにすごいメンバーが揃うこともあって、これとか堀井さん(ドラクエ生みの親)もいればよーすぴ(出たがりおじさんでお馴染み名プロデューサー)もいるし、こっち任天堂×FF×ゼノギアスとかって思うともうよだれがじゅるりって感じです。

あとはラストストーリーwiiから発売された、FF生みの親である坂口さんがFF5以来となるディレクター役を担い開発されたRPG)のプレゼンで予定にもなかったのに突然現れたりとか、有野課長でお馴染みの番組「ゲームセンターCX」で自分が開発したバルーンファイトがプレイしているのを楽しそうに見ていたのとか、ニンテンドーダイレクトでプレゼンしている姿だとか、そういったことが印象深く思い出されますね。

天才は何で早死にしてしまうんかねえ、といつも思うものですが、まあ一般人とは働き方が違うからですかね。
スティーブ・ジョブズも、中村勘三郎さんも、岩田さんも、みんな55前後で亡くなられてるんですよね。何だか不思議だ。

まあそれはともかくとして、「社長が訊く」も含め既に見知った話もいくつかありましたが、基本的には新鮮に読めるエピソードや言葉が多かったので、とても面白かったです。

【感想(本)】1日ひとつだけ、強くなる。

1日ひとつだけ、強くなる。

1日ひとつだけ、強くなる。

プロ格闘ゲーマーとして有名な梅原大吾選手の本。
自分なんかは背水の逆転劇も知ってますし、SFⅣ(ストリートファイターⅣ)からずっと大会の試合とかを見ている身なので、常に注目を置いている人物の一人でもあります。

やっぱりSFⅣ時代のリュウが一番輝いていたなーと感じたりはするものの、ときど(東大卒プロゲーマーとしてこちらも有名な選手)やウメハラ自身が言っているように、格闘ゲームを取り巻く環境が変化していった中で、未だにトッププレイヤーであり続けるっていうのはすごいことですね。それになんだかんだいっても、ウメハラに勝って欲しいなーと何となく思ってしまう、不思議と応援したくなる魅力のある選手であることは間違いないです。

本書の中に書かれているのは基本的に格闘ゲームを通して得たウメハラ自身の哲学のようなもの。
哲学といっても概念的なものやふわふわとした話が続く訳ではないです。むしろ「思ってたよりがっつり格闘ゲームのこと書いてあるな」と感じたぐらい。格闘ゲームの勝ち方だとか、目標の据え方、プロとしてどう在るべきかを模索した経験を通じて、色んな価値観を教えてくれます。

特に下記のトピックは結構強く心に残りました。

  • 1日ひとつだけ、成長する。そのために成長のハードルを下げる。
  • 見返りを求めずにやれることは大事。

最近、どうにも自分は色んなことに見返りを求めることが増えてきてしまっている気がします。それは明確な目的をもって行動しているということでもあるので決して悪いことではないのですが、その中で目的もなく時間を消費することに罪悪感を抱くこともあり……。そういうものとうまく折り合いをつけるためにも、見返りを求めずにやれること、やりたいことっていうのは確かに大事にした方がいいのかもしれないなーなんてことを感じた次第です。

あとあれですね、読み終えてすごく格闘ゲームがやりたくなりました(笑)。
最近はVスキルⅡが実装されたチャンピオンエディションがリリースされたのもあって、結構SFⅤ熱があがってきているので、またぽちぽちランクマやってます。

今年はギルティギアの新作やKOFの新作も出るようなので、色々熱い年になりそうですね、1格闘ゲームファンとして盛り上がっていきたい!

【感想(映画)】22年目の告白-私が殺人犯です-

22年目の告白-私が殺人犯です-

22年目の告白-私が殺人犯です-

  • 発売日: 2017/09/06
  • メディア: Prime Video

面白かったです。若干ツッコミどころはあるものの、ストーリーがよく出来ているし、こういうことが実際に起こりうるかもしれない、ありえないけどありえるかもしれないと思わせる、そのギリギリのドラマ性に結構惹き込まれました。いい役者さんも揃ってます。

特にこの役に藤原竜也をチョイスするのは、にくいことしますねえ、とニヤニヤしたくなる。そりゃハマり役です。

内容の性質上あまり多くは語れませんが、興味はあったけど観るかどうか迷っている人には是非にとオススメしたい作品ですね。

【感想(本)】文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る

文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る

文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る

文系でもよくわかるという表現が抽象的で、いい意味でなのか悪い意味でなのかにもよるのですが、直感でわかるレベルに噛み砕かれているかと言われればノーです。専門用語を知らなくても理解出来るかと言われればイエスです。説明されている事象を考えて理解する時間は必ず発生する内容だと思います。でも面白いです。

メールはどうして届くのか、とか、カミオカンデは何を観測する目的で作られたの、とか、どうして雲は落ちないの、とか、前半は取り留めのない雑学的な話が続くので少し退屈な面もありますが、第四章の光の話あたりから、過去の話が次の話の布石にもなっていてぐっと面白くなってきます。

光の正体がわかり、原子の正体がわかり、素粒子の正体がわかり、そして量子に至る。
それはニュートンアインシュタインファインマンといった天才物理学者達の軌跡を辿るということでもあるんですね。

万有引力特殊相対性理論一般相対性理論量子論といった「聞いたことはあるけど、中身まではちゃんとわかっていない」ものを知るための入り口としてはとても良い本だと思います。

ビルの1階に置いた時計は、屋上に置いた時計よりもごくごくわずかにゆっくり進む。

え、何で? と気になる方にオススメの一冊です。

自分は、やはりというべきか、創作ではよくネタにされるシュレーディンガーの猫も含め量子論の話が一番面白かったです。
あとはブラックホールとかホワイトホールとかワームホールとか、やっぱSFはロマンなんだよ! って感じがしますね。

【感想(本)】PIXAR 〈ピクサー〉 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話

サブタイトルから経営について書かれたビジネス書を想像される方もいるかもしれませんが、そういう側面はあまりありません。
悪い噂も多々聞く天才スティーブ・ジョブズとの出会い、ピクサーが持っていた魅力的な魔法と、そしてピクサーが何ひとつ持っていなかった経営的将来性。これらを前にして、いかにしてピクサートイ・ストーリーという作品の発表に至ったか、そしてそれ以降の作品がなぜヒットし続けられているのか。
もともと手にしていた地位を捨て、まだ小さな会社だったピクサー最高財務責任者となった著者が語る、ノンフィクション物語という印象の作品です。

メインとなるのはトイ・ストーリー制作初期からディズニーによる買収までの期間。
構成や語り口、そしてそれを伝える翻訳が非常に素晴らしく、ひとつの物語としてぐいぐい読まされました。
特に、著者であるローレンス・レビーさんの経歴がこの物語を奥深くしてくれたように思います。
というのも彼は法律・財務のエキスパートとしてピクサーに招かれた訳ですが、エンターテイメント産業における経験はゼロだったんですね。
だから、ピクサーという魔法をどうやって商売として成り立たせられるのか、それを試行錯誤していく過程にはそれ程専門色がなく、同じく何の知識もない自分が自然と深く感情移入出来る内容になっていたと思います。

自分も子供の頃トイ・ストーリーは夢中で見ていたしビデオも持っていたので、世代というか、作品が大成功を収めるシーンでは感慨深いものがありましたね。同時に、アニメーション映画を専門とする会社の経営というものがいかに難しいかというのも痛感しました。それでもピクサーが成功出来た理由は、本作を読めば分かることでしょう。

他にも、下記のような観点で面白さを感じられる内容だったので、どれかひとつでも興味を持てる人にはオススメしたい一冊です。

ちなみにKindke Unlimitedならただいま無料です(Kindke Unlimited自体は月額有料だけど!)。