【感想(映画)】マイティ・ソー バトルロイヤル

マイティ・ソー バトルロイヤル (字幕版)

マイティ・ソー バトルロイヤル (字幕版)

  • 発売日: 2018/01/10
  • メディア: Prime Video

相変わらずスーパー適当な映画でした(いい意味で)。頭空っぽで戦い続ける。神様弱い? 重火器強い? そういうことを考えて見る映画ではない。オーディンのフラッシュバックがギャグっぽい? ええやないか、とりあえずわちゃわちゃ戦いたいんや――制作者のそんな熱いパトスに溢れる作品です。

しかしアベンジャーズシリーズも色んな作品が出てきて、正直もはやソー達の出る幕ではないというか、相対的な戦闘力はだいぶ低いような気がします。もうキャプテンアメリカとかどのぐらいの戦闘力なんでしょうね。この世界にスカウターがないことが悔やまれます。

とりあえず神様も重火器で戦う時代。ラグナロクを経て、新しい時代の幕開けだなという感じがしますね。

ハイパー適当な映画なのでツッコミどころなんて存在しない、すべてがツッコミどころの映画ではあるんですが、ひとつだけツッコませてもらうなら、かませ犬の浅野忠信いる?

ハリウッドにおける日本人の地位の低さを見せつけられる、そんなマイティソーシリーズでした。

【感想(映画)】ドクター・ストレンジ

ドクター・ストレンジ (字幕版)

ドクター・ストレンジ (字幕版)

  • 発売日: 2017/05/03
  • メディア: Prime Video

エンドゲーム見るかーと思ったらまだインフィニティ・ウォーを見てなくて、ついでにいえばドクター・ストレンジマイティ・ソー バトルロイヤルも見てなかったので、48時間というレンタル期間の中すべてを見終える覚悟を決めたかざぽんのすけにございます・x・

それはそれとして、ドクター・ストレンジ、マジで映像がすごい。びっくらこいた。もうこんな映像が見れる時代がきたのね。白黒映画の頃の人達に見せたらどう思うことだろう。未来はなんて明るくて幸せなんだ、と思うだろうか。残念ながら別段幸せではないが、しかしこの映像美はすごい。こういうド直球エンターテイメントに挑めるのがやっぱりハリウッドの魅力ですね。

アベンジャーズシリーズのキャラクターは結構人間性に問題あるやつが多くて、その中で色んなものを手にしたり失ったり、体験していくから面白いと思うんですよね。ドクター・ストレンジもそんな物語性でした。でもあれですね、西洋の人達が東洋に抱く妄想は無限大過ぎて、我々東洋人からすると俺達が生きてる場所って実はすごいのではという謎の錯覚を抱きそうになりますね。ただ、日本は全く舞台になっていないというか無関係なのに見た目が忍者っぽいやつが出てくるのはいかがなものかというか、そのごちゃ混ぜ感がやっぱり無限大妄想って感じでもありますね。

なにはともあれ、このやりたいことを全力でやったった感。素晴らしい。面白かったです。

【感想(小説)】愛がなんだ

愛がなんだ (角川文庫)

愛がなんだ (角川文庫)

【公式あらすじ】
「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」――OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われればさっさと退社。すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。テルコの片思いは更にエスカレートしていき……。直木賞作家が濃密な筆致で綴る、〈全力疾走〉片思い小説!


久しぶりに一般文芸小説を読んだような気がします。
分かりやすいエンタメではないですし、キャラクターも歪んだやつばかり(主人公はカジュアルストーカーだし)ですが、するすると読み耽ってしまう不思議な物語でもありました。言葉のリズムなんですかね。厭世的な空気感に押し流されるまま、結末まで辿り着いたような、そんな気がします。その結末もまたこの主人公にしか到達しえない境地のようにも思えましたが、だからこそ面白いのか。

ところで、生々しい女性キャラクターを描く女性作家の作品に登場する男性キャラクターはだいたいクズの傾向にあるように思えるのですが、気のせいですかね。
何でこんなにクズばっかり出てくるのだろうとよく思う気がします。別に男性を立派に描いて欲しいとはこれっぽっちも思ってはいないのですが、にしてももう少しまともなやつはおらんのかとも思いつつ、でもクズの方が物語が面白くなるのかなあとも思ってみたり。

なにはともあれ、名前はよく拝見していたものの、今まで読んでこなかった作家さんだったので、結構新鮮な作品でした。
機会があれば別の作品も読んでみたいかもしれない。

【感想(本)】noteではじめる 新しいアウトプットの教室 楽しく続けるクリエイター生活

有料コンテンツの配信が出来るということで、クリエイター内でも話題になったSNS「note」に関する本。

「note」というコンテンツの名前はちょいちょい聞くけれど、いまいちどういうものなのか詳細には知らなかったので、ちょうどkindleで無料だったので読んでみました。

内容はnoteに関する手順やノウハウが四割、noteをモデルにしたそもそものブログや記事の作り方が六割といったところでしょうか。無料でやってる人、有料でやってる人の体験談等も紹介されているので、どういうことをやりやすいコンテンツなのかはわかりやすかったかなと思います。
コンテンツをまとめて配信することができるマガジン機能とかは確かに面白いかもなーと感じました。

ただまあ、読んでみた結論として、自分がnoteをやることはなさそうです。
それは本の善し悪しってことではなくて、noteというコンテンツをある程度理解したからこそ、自分のスキルやスタンスとは噛み合わないなと思ったということです。

新しくブログ等をはじめようとした人がやるなら選択肢としてありだとは思うのですが、既にブログ等をやっている人がやるのであれば、メリットになるのはやっぱり「有料化」の部分になると思うんですよね。どちらも無料でやるなら別にnoteである必要はないかなと。

んで、そう考えた時に、自分には有料で売れるような記事は書けませんし、また有料記事を書けるように努力する予定もないです。
唯一、以前サイトをやっていた三人でまた小説配信とかやる場として面白いかもなとは思ったのですが、友人と話し合った結果、やっぱり「別にnoteじゃなくていい」という結論に。

ただ、何か売り込みたいコンテンツがあるとか、これから新しく表現・発信の場を模索している人が手を出すには、面白い選択肢かもしれませんね。
創作支援機能であるpixivFANBOXも有料機能がありますが、色んな分野のコンテンツを扱えるという意味では、noteの方が自由度は高いと思います。

そして夢の終わり

「ただ生きているだけなのに、悲しくなることってあるよね」

 と彼女は言った。
 春の麗らかな日のことだった。庭の梅の木には白い花が咲いて、柔らかな輪郭の影がつらつらと揺れていた。ああ、悲しいな、と僕は思った。でも何が悲しいのか、自分でもよく分からなかった。ただ、そう、感情だけが深く募る。まるで日々の何気ない時間のように。

「きっと生きることは本質的な意味においてはとても悲しいことなのよ。だから嬉しいことや楽しいことが長く続かないと、すぐに悲しくなってしまうのね」

 真新しいスニーカーで地面をこする彼女の影が俯いて、まるで姿で言葉を表しているかのようだった。描かれていない涙を拾うように、彼女は掌をじっと見つめた。
 僕は写真が嫌いだ。撮られることが好きじゃないし、撮ることもほとんどない。たぶん想い出というものに興味がないんだと思う。
 けれどふとした時、世界の一瞬を切り取りたいと思うことがある。きっと誰に見せてもどこがいいのと問われてしまうような風景なんだろうけど、僕にとっては高名な写真家の一枚よりもずっと価値がある。
 その風景の中心には大抵、彼女がいる。
 肩程で短く切りそろえられた髪やいつも手入れされた細長い眉。膨らんだ頬と桜色の唇を、柔和なブラウンの瞳を、僕は切り取りたくなる。
 優しくしたくもなるし、壊したくもなる。
 相反する感情の狭間に落下する時、深い沈黙だけが生まれる。

「頑張らないと何も変わらないのはきっと誰だってわかってるんだよね」

 冬の名残を感じさせる三月の冷たい空気を、鈴の音のような声が震わす。

「でもどのぐらい頑張ったら報われるのかな。頑張るってことは報われることばっかりじゃないよね。頑張っても罵倒されること、頑張っても嘲笑されること、この世界にはたくさんあるよね」

 でも、と彼女は言う。

「でも、頑張らないと生きることは悲しいことだけになってしまうんだよね」

 途切れた言葉を繋ぐように、僕らは庭から離れて川沿いを歩いた。生憎の曇り空から鈍色の光が降り注いで、昨日の雨に濡れた草露が煌いていた。誰に望まれるでもなく。

「猫になりたいな」

 彼女が小さく笑って、僕は笑わなかった。

「それで、幸せになれる?」

 僕が尋ねると、彼女はまた小さく笑った。

「さあ、わかんないや。でも寝ている時は幸せそう」
「人間だってそうなんじゃないかな」
「でも、ずっと眠り続けることは出来ないよね」
「白雪姫にでもならない限りは」
「リンゴが必要だね」
「後で買いに行こう」
「うん」

 その、うん、という一言が物悲しく響いて、僕はまた世界を切り取りたくなる。瞬きを何度も繰り返し、切り刻まれた世界の一瞬をそっと盗み出したくなる。
 今日の夜もただ甘いだけのリンゴを食べる。少しは酸っぱいかもしれない。
 僕達はそれを美味しいという。誰も悲しいとは言わない。でもきっと、少しだけ似ている。

「こんなことばっかり考えてたらさ」

 運動部と思しき集団が掛け声と共に走り去っていくのを待って、彼女は歌うように呟いた。

「きっと幸せになれないんだろうねえ」
「大丈夫だよ」
「どうして?」
「僕もだから」

 僕は笑って、彼女は笑わなかった。

「大丈夫って言わないよ、それ」
「そうかな」
「そうだよ」

 でも、と今度は僕が言う。

「僕達、きっと絶対に幸せにはなれないんだろうけど」

 でも。

「それを一緒に悲しみながら、ドラマとか映画とか見てさ、たまに一緒にゲームしたりしてさ、僕はそれで充分かなって」

 そんなことが出来るのなら、例え世界中の人達が求めている幸せってものが手に入らなくったって、諦めがつく。
 すると彼女が僕の代わりにため息をついて、小さく肩を竦めた。

「また通信簿に書かれちゃうよ。人生に諦観してるって」
「何も問題ない。ほんとのことだから」

 増水して勢いを増した川の流れが白い泡を巻き込んで流れていく。古びた木造の橋の下を潜り、鉄の水門を越え、やがては海へと辿り着くのだろう。色づき始めた桜の匂いが空気に紛れ、微かに鼻先をこする。
 あてのない散歩にも限界はある。誰もいない小さな公園の角を曲がって、反対側の遊歩道を歩き家路へと着く。堂々巡りなのは性に合っている。帰りは手を繋いで帰る。停車したバスの横を通り過ぎる。指先に少し力を込める。不意に汽笛のような音が鳴り響く。まだ悲しみを多く知らない子らが無邪気に駆け抜けていく。彼女が息を吐く。少しだけ肩を震わせる。歩くことに疲れ始める。生きることに悲しくなる。ほっそりとした指先を絡める。僕達は幸せにはなれない。
 きっとこの世界で何もなすことはない。
 でも、それでいい。

「休む?」

 僕が問うと、彼女は少しの沈黙の後、ゆっくりと首を横に振った。

「ううん。帰ろう」

 写真を撮ろうと思った。誰の目にも留まらない、誰も称賛しない、幸せでもない、なんてことのない風景を。
 幸せになろうとして、でもなれなかった証として。

「お腹空いた。朝ご飯を食べよう」

 風が吹いてさらわれた言葉が、梅の花びらと共にひらひらと地に落ちた。
 透き通るような白に埋め尽くされた並木道の中で、彼女が静かに唇を噛んで、僕はそれを見なかったフリをして。
 喜びも悲しみも置き去りにして、僕達は誰かの風景の中をずっと歩いていく。
 そして夢の終わりまで。