【感想(小説)】愛がなんだ

愛がなんだ (角川文庫)

愛がなんだ (角川文庫)

【公式あらすじ】
「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」――OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われればさっさと退社。すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。テルコの片思いは更にエスカレートしていき……。直木賞作家が濃密な筆致で綴る、〈全力疾走〉片思い小説!


久しぶりに一般文芸小説を読んだような気がします。
分かりやすいエンタメではないですし、キャラクターも歪んだやつばかり(主人公はカジュアルストーカーだし)ですが、するすると読み耽ってしまう不思議な物語でもありました。言葉のリズムなんですかね。厭世的な空気感に押し流されるまま、結末まで辿り着いたような、そんな気がします。その結末もまたこの主人公にしか到達しえない境地のようにも思えましたが、だからこそ面白いのか。

ところで、生々しい女性キャラクターを描く女性作家の作品に登場する男性キャラクターはだいたいクズの傾向にあるように思えるのですが、気のせいですかね。
何でこんなにクズばっかり出てくるのだろうとよく思う気がします。別に男性を立派に描いて欲しいとはこれっぽっちも思ってはいないのですが、にしてももう少しまともなやつはおらんのかとも思いつつ、でもクズの方が物語が面白くなるのかなあとも思ってみたり。

なにはともあれ、名前はよく拝見していたものの、今まで読んでこなかった作家さんだったので、結構新鮮な作品でした。
機会があれば別の作品も読んでみたいかもしれない。