2020年10月感想まとめ
マンガ
・ダンジョン飯9巻(作者:九井諒子)
何か色々と複雑になってきたというか、
飯じゃない話題の比重がどんどん大きくなってきてますね。
あと3巻ぐらいで完結するのかなあ、と何となく予想。
マルシル好きなんでマルシルの過去話読めたのがよかったです。
・食キング全巻(作者:土山しげる)
なんかふとまた読みたくなって全話読破。
冷静に考えなくても料理には直結しない謎のトレーニングと、
常に上から目線なのにメンタル弱すぎ北方さん(主人公)の、
程よく無茶苦茶なストーリー展開とベタなハッピーエンドが
なんだかんだ面白いんだよなあ、としみじみ。
作中に出てくるような庶民的な中華屋は
自分の周りからどんどんなくなってしまったので、
ある種の懐かしさみたいなのもあるのかもしれない。
店行くと暇そうに新聞とかテレビ見てる店主が作る、
安い割にめちゃくちゃうまい野菜炒め定食とか、
そういうのってなんかいいですよね。
本(小説)
・ビアンカ・オーバースタディ(作者:筒井康隆)
筒井康隆ってラノベ書いてたんかい、という衝撃のまま読んでみた作品。
普通の人生に飽き飽きしてるとことかイラストがいとうのいぢなところとか
もはや筒井版「涼宮ハルヒ」といっても過言ではなく、
未来人とかタイムトラベルとか美少女のオンパレードとか確かにすごくラノベ的だ。
が、主人公は人間の生殖に興味を持っていて受精実験を繰り返しており、
ウニでは満足出来なくなって身近な男性に手を出し始める冒頭からして
「へ、変態だー、俺達の知ってる筒井康隆だー!」ってなった(真顔)
面白いか面白くないかでいえば奇想天外ではあるがそんなに面白くはないし、
ちゃっかり現代社会や現代人批判を入れてくる辺りも若者受けはしなさそうだが、
ラノベ的キャラを意図的に一歩外してくる(七十歳を超えた大御所が、だ)キャラ作りや
全章でほぼ共通しながらも惹きつけられる冒頭の文章(※)など、
大御所らしい実力と大御所らしくないチャレンジを見れて、
そういう意味ではとても面白かった。
※第一章は無料公開されているため、引用します。すごくリズム感がいい。
見られている。
でも、気がつかないふりをしていよう。
気がつかないふりをしていると思われてもかまわない。
いつも見られているから平気なんだと思わせておけばいい。
実際、もう慣れっこになってしまっているし、慣れっこにされてしまっているのだ。男の子たちの視線に。みんながわたしを見る、その何かを恋い願うような視線、慕い寄るような視線、粘りつき、からみついてくるような視線に。
わたしは知っている。わたしがこの高校でいちばん美しい、いちばん綺麗な女の子だということを。
本(小説以外)
・日本語の作文技術(作者:本多勝一)
いちおう物書きではありますが、小説のためではなく、
仕事柄文章を書く機会が多いので、
うちの社長がオススメしていた日本語の本を読んでみました。
わりと感覚で自然とやっていることが大半だったので
新しい知見は少なかったですが、
少し論理的に「なぜこの文章はいまいちなのか」は
説明出来るようになった気がします。
特に修飾語の順番や翻訳文がなぜ気持ち悪くなるのかについては、
「なるほどなー」という感じ。
反面、改行については、
ただ読みやすさのためだけに改行すべきではなく、
思想の単位で改行していくべきという論立ては自分も賛成だが、
「これが俺の思想の単位なんだ。だから改行しなくてもいい!」
といって数ページも改行しないことをドヤるのは正直違うと思う。
思想の塊をどの要素レベルで分解するかで単位は変わってくるわけで、
細かく要素を区切っていけば改行は増やせるし、
そっちの方が読みやすいなら断然その方が読者にとっていい。
改行のタイミングも文体であり、面白い文章の人は改行少なくてもすらすら読めるが、
少なくとも改行が不必要に少ないこの人の文章は読んでてずっしり疲れるので、
それが書き手側の独善に依存しているのは否めないように感じた。
・リーダブルコード(作者:Dustin Boswell、翻訳:角征典)
事情があって再読した本。
数年振りに読んでみたが、今の自分にはもう必要なさそう。
そういう意味では、書かれている内容がきちんと自分の身についていること、
改めてコーディングをする上で本当に基礎的なことを確認することが出来たので、
読み直したこと自体は無駄ではなかったと思う。
C++のコード例が多く独特の翻訳調も相まって読み辛さはあるが、
日常的にコーディングする機会のある人は一度は読んでみていい本だと思う。

リーダブルコード ―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック (Theory in practice)
- 作者:Dustin Boswell,Trevor Foucher
- 発売日: 2012/06/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)