2021年6月感想まとめ

映画

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(原作:富野由悠季、制作:サンライズ

三部作の第一部にあたる本作、既にyoutubeで公開されていた冒頭15分は
十分面白かったので、これは期待できるんじゃないかと思いながら見に行きました。
実際のところ、非常によく出来た映画で、なかなか面白かったです!
特に映像美や風景の描写センスは近年のガンダムの中で随一という印象。
富野節な言い回しや宇宙世紀の空気感を抱えつつも、
新たな時代の技術や価値観を踏まえたニューガンダムに仕上がっていると思います。
ただ、かなりアダルトな空気感が漂う作品でもあるので、
子供が見て面白いガンダムではない、のは間違いない(笑)
第二部も期待しています!

アニメ

シャドーハウス 8~11話(原作:ソウマトウ、制作:CloverWorks)

お影様達の取り巻く環境が見えてきたことで没入感がぐっとあがった。
相変わらず主人公は天真爛漫で
よくも悪くも頭の中お花畑(作中でも言われる)なんだけど、
その優しさや勇気が不必要に説得力もなく
周囲や世界を変えていかないところには好感が持てるな、と思う。
失敗もあるし、きちんと敵対や窘める人もいるのがよいね。
また、10話から一気に話の裏側が見えて性質も変化したため、
よい意味でさらに印象が変わっていってる。俄然面白くなってきた!

ドラマ

プリズン・ブレイク シーズン4 11~15話(主演:ウェントワース・ミラー

もう話を引き延ばすためのギミックとか、
シーズン4にきていきなり発病した主人公の病気とか、
もうそういうのはどうでもいいんだ……
はやく、結末を見せてくれ……(死

マンガ

進撃の巨人 34巻(作者:諫山創

いよいよ最終巻でございました。
ある程度は想定通りの展開ではあったのですが、
やっぱり終わり方も含めて何だか切ない……。
手に入れたもの、失ったものがたくさんあり、
失われたものはもう二度と戻らない訳で。
エレンの生き様と飛翔する鳥の行方に寂しさを感じながらも、
なにはともあれお疲れ様でした。

ゴールデンカムイ 26巻(作者:野田サトル

登場人物が劇的に増えたせいでハチャメチャ感が凄い。
個人的にはもう少しコンパクトに旅していた頃の方が好きだったけれど、
これはこれで頑張ってエンタメしようという心意気が伝わってくる構成ではある。
刺青の数もついに終わりが見えているので、
ここからクライマックスへどう持っていくのか、楽しみです。

大東京トイボックスSP 全1巻(作者:うめ)

大東京トイボックスの番外編を読み忘れていたとは、なんたる失態!
と思ったら発売日が今年の四月だった。
またこいつらの話が読めるとはねー、ありがたい限りだ。
しかし作者様も言っていたが確かに下ネタがなかなかに多い(笑)
それでも各キャラクターの特性にうまく焦点を当てていて、
やっぱりこの世界観、この登場人物好きだなーと思い知らされた。
また本編読み直そうかな。

東京トイボックス0 全1巻(作者:うめ)

東京トイボックスの番外編を読み忘r(ry
発売日が今年の4月でした。こっちは完全な前日談にあたるので、
きっちり起承転結流れのある話になっていました。面白い!
太陽というキャラクターは強さ・弱さがはっきりしているので、
そこの焦点の当て方と周囲との関係性が絶妙だなーと思う。
何よりこの歳になると何か頑張ってる社会人の話って刺さっちゃうのよ(死
ひたむきさを忘れない大人って何かださ格好いいんよねえ。

ゲーム

√Letter ルートレター(開発:角川ゲームス

ずっと気になっていたゲームがセールだったので購入してみた。
ゲームカタログでは評価が「怪作」となっており、
知人からは「Steamのレビューが荒れている」と聞いていたので、
色々やばいんだろうなと覚悟を決めてプレイしていました(笑)
ただ、確かに主人公の性格がカオスとか電波なシナリオもあったんですけど、
TRUE ENDはね、本当にいいストーリーでした。
あと島根のあちこちを巡り歩くというのは、
このコロナ禍という状況にあって、疑似的な旅行感もあって楽しかった。
一週目とTRUE ENDをプレイするだけなら良いゲームだと思います。
ただUIやスキップシステムに難ありのため、
もしプレイしてみようかなっていう人がいるなら、
後述のシステム改良+追加シナリオあり版、Last Answerの方をオススメします。

√Letter ルートレター Last Answer(開発:角川ゲームス

実は続編だと思って購入したんですが、先述の通り、
システム改良+追加シナリオあり版、というだけでした……。
いや、だけって言い方もあれかな。なんといってもこの追加版、
何故か全編実写モードを実装するという謎の気合の入れ様。
街とか428リスペクトなのかわかんないけど、
最初からそうするならともかく、追加版でなぜ? 誰得?(イッテハイケナイ
実写を演じられた役者の方々は味があってよかったですけどね。
UIはそれなりに改善されてて、デフォルト版よりはプレイしやすくなってる。
デフォルト版と同じ2Dイラスト版(オリジナルモード)でプレイするとしても、
Last Answerでプレイした方が確実に快適に遊べます。
TRUE ENDはいいシナリオだったので、ご興味があれば安いですしぜひ!

Guilty Gear Strive(開発:アークシステムワークス

待ちに待った神ゲー
今までにないシステムで不安も大きかったが、
遊んでみればやはり神ゲー
格闘ゲームをプレイしているという体感が確かにありながらも
カジュアルにも遊べるという匙加減がかなり絶妙。
個人的にはXrdが盛り上がり過ぎたなという印象もあるが、
ストーリーもひとつの決着として見届けられてよかったなと思うし、
まあようは神ゲーなんだ。うん。ぜひ遊んでくれ!

本(小説)

白鳥とコウモリ(作者:東野圭吾

久しぶりに東野圭吾の新刊を読みました。
500Pを超える大ボリュームだったんですが、
やはりトリックとか仕掛けにはあまり驚かされない……
というか話が地味に複雑なので驚く準備が揃わないまま話が進んでしまった、
といった方が自分の感覚としてはしっくりくるかな。
あるいは僕からそういうものを楽しむ力が失われてきているのかわからないけど、
なかなか容疑者Xの献身のような驚きをもう味わえないのは少し寂しいところ。
ラストやタイトルが意味するテーマ性の重さみたいなものは
さすが東野圭吾と思わせるものがありました。

52ヘルツのクジラたち(作者:町田そのこ)

とある事情で田舎へ引っ越してきた、傷ついた女性「貴瑚」と、
虐待されている少年「ムシ」が出会い、交流していく中で、
二人は52ヘルツのクジラの声を聴く。
52ヘルツという特殊な周波数でしか鳴くことの出来ないクジラ。
他の誰にも届くことのないその声は、孤独で、しめやかで、
深い海の底にひっそりと、でも確かに響き渡っている――。
本当は誰もが持つであろうそれを確かなカタチとして描いた本作。
前半は何か情緒不安定な田舎暮らしが続くので少し退屈でしたが、
後半の畳みかけるような感情の波はぐっと惹きつけられるものがありました。
本屋大賞受賞作ということで、長さもそんなに長くないので、
話題作として手に取っても十分楽しめる作品かなと思います。

本(小説以外)

筆を折った人のための創作論(作者:らぴ)

別段筆を折った訳じゃないんですが、
今までこの手の創作手法とか創作論みたいな物とは距離を置いていたんですね。
というのも、画一化されたやり方に手を染めると量産品しか作れなくなりそうな
そんな傲慢さと恐怖心が少なからずあったので。
ただ、別段そんな程度で消える個性なら個性でも何でもないだろうという思いと、
いい物語を書きたいという方向性でも頑張ってみたいなーと思い、
この手の本にも手を出してみた次第です(Kindle Unlimitedなら無料だし)。
内容はかなり短い(というかシリーズ構成)ので、
入門編の言葉が示す通り、そんなに具体的な手法に触れたものではなかったかな。
ただ、少なからず吸収出来るものもあったしさらっと読めるから、
このまま次の巻も読んでみようかなとは思う。

小説家になりたい人のための教科書(作者:らぴ)

タイトルのつけ方に関連性がないのでわかり辛いですが、二巻目らしいです。
内容はかなり基礎的な部分なので、あまり参考になるところはなかったかな。
これから物語を書いてみたい人には良いかもしれない。
が、書いていれば自然と身についてくるものが大半なので、
よっぽど体系的な知識から入りたい人なら読んでみてもって感じかな。
もっとがっつりストーリーやキャラクター造形の手法とかを知りたかったんですが、
そういうのを期待して読むものではない感じですね。

物語を楽しく書いて売る方法(作者:らぴ)

タイトルのつけ方に関連(略)三巻目らしいです。
こっちの方が具体的な方法についての記載や考え方があったので、
いらんところ飛ばして読めば結構参考になるかも。
世界観と舞台設定の違いや戦闘シーンを上手に書く方法とかは結構面白かった。
ただ、次巻は小説家のためのマーケティング戦略というタイトルなので、
あまり興味湧かないし、このシリーズはここで終わりということで。

エンタテイメントの作り方(作者:貴志祐介

自分的には「新世界より」の印象が強い貴志祐介さんの小説の書き方本。
自身の体験をベースにしており、理路整然としながらもくどすぎないのは、
さすがプロ作家といったところか。
ただ、テクニックと呼ぶにはいささか観念的なものもあるため、
結局基本的な方針に従って地道にコツコツやっていくしかないのかなとも思う。
まあそんな目から鱗のテクニックなんてそうそうないやあね。
ただ、プロもまたこうやって努力し足掻いているんだよってわかるだけでも、
物書きにとっては勇気づけられるものがあるんじゃないだろうか。

コーチングが人を活かす(作者:鈴木義幸)

管理者的ポジションになってきたので、
育成していく上で何かヒントになるものがあればと思い読んでみた。
ティーチングは簡単なんだけどコーチングはやっぱり難しい。
言うは易しというか、そんなうまくいくかなーと思える部分も多かったが、
褒め方のパターンはひとつ増やせたように思うので、今度試してみたいところ。

マンガでぐっすり! スタンフォード式最高の睡眠(作者:西野精治)

スタンフォード式 最高の睡眠」のマンガ版。
マンガ形式はカジュアルに読めるので重宝してはいるのだが……。
マンガがあまりにも内容的に適当過ぎてマンガである意味がなくなっている。
結局大事なところはテキストでぶわーっと書かれているので、
これなら普通に元の本を読んだ方がよかったかもしれない。
まあポイントはわかったので、睡眠力改善を試してみるぜ。

マンガでわかる カラダが激変する本気の筋トレ(作者:岡田隆

マンガ形式二個目。
内容は薄かったが、マンガはこっちの方がよかった(ぁ
ちゃんと起承転結しっかりしているし、無駄がない。
本の趣旨とは結果的に反するが、
実際問題二ヶ月で激変させるならちゃんとジム行って
トレーナーに教わった方がいいんだろうなということはわかった。
家でやれることは限られてるし、誰もフォームチェックしてくれないもんね。

睡眠こそ最強の解決策である(作者:マシュー・ウォーカー、訳者:桜田直美)

後半かなり読み飛ばした状態での感想になります。
とにかく色々書いてはあるのだが、書いてあるうちの九割は、
睡眠不足がいかにリスクであるかという話でしかない。
この本を手に取るような人間の大半は
多かれ少なかれそこにリスクを感じているだろうし、
だからこそよく眠れる方法を求めて読む訳だが、
そういう意味ではほとんど役に立たない本であった。
どうすればよいか、という点についてはありふれた情報しか出てこない。
なので、具体的な解決策を求めている人は読まない方がよいだろう。

人は話し方が9割(作者:永松茂久)

今月読んだ小説以外の本の中では一番よかった一冊。
ある意味において、話し方のテクニック集ではあるのだけれど、
その本質には結局のところ相手のためっていうところがあって、
テクニックを通して心構えを知れるという構成がとても良かった。
誰もかれもに尽くすような時間はないんだし、
その中で僕は僕なりに意識して気を遣っているつもりだったけど、
結局半分はポージングでしかなかったのかなとも思う。
時間で調整するんじゃなくて、質で調整することが出来れば、
より多くの人ともう少し誠実に向き合えるのかもしれない。
まあこの手の本はそれをちゃんと実践出来るかどうかなので、
そこは意識して努力していきたいと思う。

科学的に正しい筋トレ(作者:庵野拓将)

とても詳細に書かれており、何をエビデンスにしているのかも
きちんと提示した上で論立てされている。
しかしながら筋トレのエビデンスは結局数年後に
「やっぱり有意性はありませんでした」ということもしばしばあるので、
現時点ではこの可能性が高い、ぐらいの感覚で捉えていくのがよさそう。
とりあえず高負荷低回数じゃなくても、
週単位での運動量負荷が同等であれば低負荷高回数でも
そんなに有意性に差異はないよ、という話が事実であるならば、
筋トレのしんどそうなイメージは覆りそうだなあと思った。

図解 コーチングマネジメント(作者:伊藤守)

コーチングの本でオススメありますかって聞いたら
うちの社長から渡された本1。
見開きで半分が解説、半分が図解になっているので
非常に読みやすくわかりやすくはあるのだが、
汎用的過ぎたり理想論過ぎたりするところも多く、
そんなに実践で役立つような情報はない印象でした。

教える技術 チーム編(作者:石田淳)

コーチングの本でオススメありますかって聞いたら
うちの社長から渡された本2。
こっちは結構自分でもやっちゃってるかもと思わされる問題点や
こうしたらあの場面もっとよい方向に持ってけたのかもなあと
思える部分があり、読んでよかったかなと思える一冊でした。
読みやすくていいのだけれど、どうも前にあった本の続きらしく、
気になる方は一個前からちゃんと読んだ方がいいかもしれない。

「おもしろい人」の会話の公式(作者:吉田照幸

何かこういう本を読んでるって出すのちょっと恥ずかしかったりもしますが、
もともと話すのが下手というコンプレックスがずっとあるので、
少しでも改善の手助けになればと読んでみた次第。
内容は結構面白かったです。結局のところ、
「人は話し方が9割」の方でも書きましたが、
こういうのって全部本質的な意味において
相手の為にすることなんだなと痛感する今日この頃。
場合によっては傷つけるリスク高そうなものもありはしましたが、
そういうのは上手にスルーしてしまえばよいので、
トータルでいえばロジカルで面白い本だったかなと思います。

なぜか好かれる人の話し方 なぜか嫌われる人の話し方(作者:ディスカヴァー・コミュニケーション・ラボラトリー)

Kindle Unlimitedで無料だったので読んでみました。
内容は恐らく多くの人がある程度気を付けていることだとは思う。
ただ、その裏側にある意図、言葉にしない意味づけみたいなものを
とにかく徹底的に解説したものではあるので、
気を付けていることの重さみたいなものは
読後の方が強く感じられるようになっているかもしれない。

頭の回転が速い人の話し方(作者:岡田斗司夫

これを書いたおっさん自体は好きになれないんだけど、
そういう人間が書いたものをあえて読んでみてもよいのではないかと思い、
図書館で借りてきて読んでみた一冊。
僕は深くゆっくり考えるのは得意ですが、
瞬間的に物事を考えるのは苦手という自覚がずっとありました。
本著でいうところのローギアはいけるけどトップギアはだめだめな感じ。
じゃあトップギアを鍛えるのはどうすればよいのか、というと、
うーん、参考になるところはそんなになかったかな(死
そもそもユニバーサル・トークというものが全然ぴんとこない……。
ただ試してみたいと思えるアプローチは二つほどあったので、
収穫はそれと、島田紳助のエピソードが面白かったことぐらいかな。

3秒で心をつかみ10分で信頼させる聞き方・話し方(作者:小西美穂

キャスターさんが書かれた聞き方・話し方の本。
なので、インタビューや司会寄りの考え方・価値観の話も
ちょいちょいあるのが他とは違うところかな。
ある程度短くまとまっているし、実体験のエピソードも交えているので、
内容は読みやすい方だと思う。
Kindle Unlimitedで無料なので、興味がある方は読んでみてもいいかも。

話し方で損する人 得する人(作者:五百田達成)

Kindle Unlimitedで無料だったのでシリーズ。
さすがにこの手の本を何冊か読んできた結果、
ほぼ見慣れたことが書いてある現象になってきました。
それはこの本が平凡なことしか書いていないという意味ではなくて、
大事な部分のコアはやっぱり一緒なんだ、ということ。
そういうものをきちんと再確認出来たのでよかったし、
この本が一番身近な題材を例にしているので内容もシンプル。
さくっと読む一冊としてはオススメかもしれない。

2021年5月感想まとめ

映画

ジョン・ウィック(監督:チャド・スタエルスキ、主演:キアヌ・リーブス

亡くなった奥さんからの最後の贈り物である飼い犬を殺され、
再び絶望に投げ出されたキアヌ・リーブス演じる最強の殺し屋が
犯人を含むマフィアを組織もろとも殲滅する復讐映画、これがすべて。
とにかくこれはキアヌが淡々と雑魚共を蹴散らしていく無双を楽しむ映画なので、
そういうのが見たい人にはオススメ。そうでない人は特に見る必要なし。

ドラマ

プリズン・ブレイク シーズン3全話(主演:ウェントワース・ミラー

シーズン2までは内容的にもクオリティを保っていたが、
やはりシーズン3は1,2と比べるとどうしても落ちる印象は否めない。
題名にふさわしい脱獄シチュエーションに戻ったという意味では、
実際にはシーズン2よりもずっとコンセプトには沿っているのだけれど、
最初のシーズン1と違って全く計画性の無いアドリブ脱獄なので、
「おお!」や「すげえ!」といった感動が少ないのがネック。
まあ海外ドラマあるあるというか、シーズン1,2見ちゃったから
とりあえず続き見てるけど、といった状態に持ち込まれるので、
そういう意味ではそこも含めて制作陣の狙い通りなのかもしれないけど……。

プリズン・ブレイク シーズン4 1~10話(主演:ウェントワース・ミラー

まあ色々と、すべてを終わらすための話って感じだ。
もう彼らの行く末にそんなに興味を持てなくなってはきているのだけれど、
あとちょっとでフィナーレに辿り着けるというモチベーションのみで見ている。
つまらないって程ではないんだけど、
この物語についてはもう十分満足したからいい加減終わりを見たい、みたいな感じ。
やっぱり長すぎる物語体系って得意ではないんだよな。
まあ本来はドラマとして毎週のんびり見ていくものだろうから、
一気に見ようとするのがそもそもよくないってのも多分にある気はするが……。

アニメ

シャドーハウス 1~7話(原作:ソウマトウ、制作:CloverWorks)

知人にご紹介いただいたため、見ている作品。
自分のフィーリングだけだったらまず見ることのない作品なので、
こういう巡り合わせみたいなものはちゃんと拾い上げて吸収してきたいですね。
はてさて、話の内容は煤に塗り潰されたシャドー家の一族と、
シャドー家に仕える生き人形と呼ばれる子達の交流を描いた物語、になるのかな。
後半になると結構印象変わるらしいという情報だけはもらっているのですが、
今のところはちょっとダークな設定を覗かせつつもハートフルな日常物の印象。
主人公がドジっ子の天真爛漫娘で明るさマックスなのもそう感じる理由のひとつだと思う。
今後どうなるかに期待しつつ、ゆっくり見ていこうかな~っていう感じですね。

マンガ

うみべの女の子 全2巻(作者:浅野にいお)

Youtubeでこのマンガ原作の映画予告を見かけて、
ほほーんと思って読んでみた本作。
いやー、若い、若いってすごいねえ(老人発言
噎せ返るような青春と倦怠の匂いにまとわりつかれて、
始まりから終わりまで何も進んでいないようでいて、
けれど確かに彼女はもう少女ではないのだろう。
それをきっと彼女自身、成長とは呼びたくないのだろうし、
そう呼ばれると死にたくなるような年頃だろうから、
まあそうやっていつか勝手に大人になりなよ、なんて
謎の上から目線でどうでもいい感慨を持っちゃうような、
そんな青くほろ苦く鋭い物語でした。
そういうの好きな人にはオススメ。
ただしエロシーンがそこそこあるのでそこだけ要注意。

ブルーロック 14巻(作者:金城宗幸 / ノ村優介)

久々にサッカーやってるの見た(ぇ
この作品では珍しい11:11で、しかも相手はU-20代表。
糸師冴も参戦しての前半戦で盛り上がってはいるのですが、
やっぱりサッカーマンガの難しいところ、
11人×2(+ベンチ)のキャラクターに焦点をあてるのがなかなか困難。
主人公・凪・凛・冴・アイク以外は正直影薄い感はありますね。
ただ、全員に焦点あてようとするとおおふりみたいに
一試合に数巻を費やすことになるので、
まあこの作品はこういうスタイルだと思えば気にはならないかな。

ブルーピリオド 10巻(作者:山口つばさ)

神回だった。世田介君と渋谷でオールする話がとてもいい。
進級試験もあったが、選評の芸術家達は相変わらず毒舌というか、
人として終わっているとしか言いようのない表現をしてくるのが生々しい。
それって、そういう極限のところでやっていることへの
自負の表れなのかなーとも思うんだけど、
ある意味自分のためのエゴでしかないようにも思うんだよね。
自分もたまにそういう気持ちがもたげてくることがあるけど、
やっぱり客観的に見て良い感情ではないように思うし、
もっとナチュラルに物事を受け止めていく心構えを持ちたいところ。
なにはともあれ、芸大受験以降少し勢いが落ちたかなと思っていた本作、
まだまだおもしれーぜ! やっぱりオススメの作品です!

本(小説以外)

貯金感覚でできる3000円投資生活デラックス(作者:横山光昭)

会社の社長が絶賛投資にハマっており、興味あれば読んでみたらーと渡された本。
まあこの手の本は作者に都合の良いように書かれるものだから鵜呑みには出来ないけど、
それはそれとして面白い世界だなーとは思ったし、
ちょっとやってみようかなという気持ちにさせるだけの
庶民感覚的手軽さやわかりやすさがあった。
実際問題、自分達が定年になる頃の年金は正直期待できないなーって気持ちもあるし、
色んな選択肢を持てる、あるいは選ぶだけの知識を有していることは大事かもね。

NHK基礎英語 使いこなし 中学英文法(作者:阿野幸一)

色々あって、英語を真面目に勉強しようと思い、初心に返って勉強中。
中学英文法からやり直している時点で僕の英語力はお察しな訳だが、
そんな自分でも非常にわかりやすく読めたので、
中学や高校の時の自分に渡してあげたい気持ちになった。
まあそんなことしたところで、当時の僕が勉強するとは思えないがヽ( ´ー`)ノ
自分のように大人になってからやり直してみようかなって人には、
入口としてとても良いと思う。オススメ!

神トーーク 「伝え方しだい」で人生は思い通り(作者:星渉)

非常に胡散臭いタイトルなので有料だったら絶対読まない一冊だが、
Kindle Unlimitedで無料だったので、まあたまにはこういうのも読んでみるかと
手を出してみた一冊。
まあ人生が思い通りかどうかはだいぶ怪しいものだし、
そんな言い回ししたら逆に相手に不快に思われそうみたいなのもあったけど、
きちんと腑に落ちる点もあったから思ってたより悪い本ではなかった。
本著内でも記載のあることだが、
あとは自分がよいと思えた部分については きちんと現実で実践していけるかどうか。
周りを動かす立場になってきてしまったので、
より良いやり方を模索していきたいところ。

2021年4月感想まとめ

映画

七つの会議(原作:池井戸潤、監督:福澤克雄、主演:野村萬斎

色んな人の、ある意味接点のなさそうな事件から
少しずつ大きな事件が見えてくるという構造は群像劇的だが、
個々の登場人物の物語を楽しむというよりは、
視聴者も含め野村萬斎という道化に振り回されるのを楽しむ作品といった印象。
池井戸潤原作ドラマでは常連の人達で埋め尽くされているため、
ある種の安心感や安定したクオリティは保証されているが、
全体的にメリハリが弱く、驚きやカタルシスに乏しかったため、
半沢直樹のような衝撃や痛快さを求めて見ると肩透かしかもしれない。

七つの会議

七つの会議

  • 発売日: 2019/09/11
  • メディア: Prime Video

マンガ

東京トイボクシーズ 3巻(作者:うめ)

うーん、あんま話進まんな!
正直巻を追う毎に作品全体のテンションが下がっていっている印象。
eスポーツ特有の熱やプレイヤーの努力も見せて欲しいところだが、
裏で暗躍する大人達の事情に比重が置かれ過ぎなのかなあ。
あと基本的に主人公が強すぎる。今のところ負ける気配なし。
なのでバトルシーン(格闘ゲームだけど)がありながら
ハラハラしないのが結構致命的に難点。

監督不行届 全1巻(作者:安野モヨコ

庵野秀明エヴァ総監督)の奥さんが描く、
面白おかしい庵野監督との結婚生活を描いたエッセイマンガ。
プロフェッショナルの流儀で庵野監督の生態を見届けた後、
前から気にはなっていたのでちょうどいいから読んでみたのですが、
いやー、やっぱ変人ですわ(死
でも夫婦としてはかなり綺麗に成立しているというか、
(成立しているところしか描いていないからかもしれないけど)
なんだかんだ幸せオーラが溢れているあたりが、
よかったねと庵野監督に心の底から言ってあげたくなる(誰目線

監督不行届 (FEEL COMICS)

監督不行届 (FEEL COMICS)

宮本から君へ(完全版) 全12巻(作者:新井英樹

4月の一時期、俺のメンタルをブレイクした作品(死
まさかこんな展開になろうとは……ぶっ続けで読めてもきつかったのだから
こんなものを連載で読まされていた人達のメンタルは大丈夫だったのだろうか。
終わりこそ見届けてよかったと思えるものの、
終盤の展開はあまりにも辛く(特に男性にとっては)、
生々しい熱と苦みと泥臭さに塗れた物語はしばらく心を掴んで離さない。
読むなら覚悟を持った方がいいとは思うが、読む価値はある作品だと思う。

宮本から君へ [完全版] 1

宮本から君へ [完全版] 1

本(小説以外)

広告コピーってこう書くんだ!読本(作者:谷山雅計)

コピー文章の書き方指南的な本。
今は個人で色々発表する機会も多いため、
こういうものの需要はもはや万人に広がりつつあるように思う。
また、アイディアの捉え方、文章の請求力といった点については
小説や物語場面にも通ずるものがあり、
とても面白く読むことが出来ました。
わりとさくっと気軽に読めるのでオススメ!

広告コピーってこう書くんだ!読本

広告コピーってこう書くんだ!読本

はじめてのUIデザイン 改訂版(作者:オムニバス)

UIに関する本ではあるが、どちらかというと職業デザイナーの駆け出し向け。
考え方や扱うツール、仕事として受注した場合のアプローチや落とし穴など、
かなりロジカルかつ事細かに掘り下げられた内容になっている。
反面、もし職業にしようという考えでない人が読むのであれば
次の「デザイナーじゃないのに!」の方がわかりやすく書かれているのでオススメ。

デザイナーじゃないのに!(作者:平本久美子)

ポイントとなる部分は「はじめてのUIデザイン」と同じことが描かれているのだが、
こちらはマンガ形式だし具体例つきでとてもわかりやすく書かれているので、
UIやポスターといったデザイン的構成の考え方を軽く学びたいという人にはオススメ。
そういう意味ではまず初めにこっちを読んで、
その上でデザイナーという職業に興味が感じられたなら、
先述の「はじめてのUIデザイン」を読むという流れがよいかもしれない。

2021年3月感想まとめ

映画

シン・エヴァンゲリオン劇場版:||(制作:カラー、監督:庵野秀明

公開初日の朝一で、終わりを見届けてきました。
自分が小学生ぐらいの頃にTVアニメ版の最終話辺りを見て、
「なんだこりゃ」とスルーしていたにもかかわらず中学でドハマリし、
二次創作を読み漁ってついには自分で二次創作を書き始め、
新劇場版も含めてすべてのエヴァンゲリオンを見てきた身としては、
とても感慨深いものがあります。
ネタバレになるので細かいことは言えませんが、
自分としてはよい終わりだったかなと思っています。
ありがとう。そしてさようなら、すべてのエヴァンゲリオン

ドラマ

BORDER 贖罪(脚本:金城一紀、主演:小栗旬

最初のドラマがまあまあ面白くて見てたんだけど、
ドラマの最終話がすごく中途半端な終わりだったので、
いつか続きやるんだろうなーと思いながら忘れ去っていた作品。
続編にあたるスペシャルドラマなので100分程度と映画ぐらいの長さなのですが、
とにかく出てる俳優さんがすんばらしいラインナップなのよね。
特に滝藤さん・浜野さん・野間口さんの裏組織メンバーズは
僕の好きな名脇役の方々をかき集めたような並びなので嬉しい限り。
ただ、作品はかなり重いし終わらせ方も結局うーんっていう感じだったので、
一般ウケはしないわなあというのが正直なところ。
まあでもきちんと終わりを見届けられてよかったです。

BORDER 贖罪/衝動 [DVD]

BORDER 贖罪/衝動 [DVD]

  • 発売日: 2018/02/23
  • メディア: DVD

プリズン・ブレイク シーズン1全話(主演:ウェントワース・ミラー

久しぶりに海外ドラマ見てみるか、と思って
面白いとあちこちで聞いていた本作を今更見始めました。
確かに、めっちゃ面白い!!!!
そして主演のウェントワース・ミラー格好良すぎ。
俺の中のイケメンスカウターがミリ秒でぶっ壊れたわ。
自ら設計に関わった監獄の設計図をタトゥーとして全身に掘り込み、
無実の罪で投獄・死刑になろうとしている兄を救うため、
知略をもってして謀略と陰謀に立ち向かうストーリー展開は
ドキドキハラハラと息を吐かせぬものがあり、見応えバッチリ。
ただし海外ドラマあるあるですがシーズン1では完結しないので、
その覚悟は持っておいた方がいいかも……。

プリズン・ブレイク シーズン2全話(主演:ウェントワース・ミラー

ここまで長い話数設定になるとさすがにだれるかなと危惧していた
シーズン2ですが、こっちも失速せずに普通に面白いですね。
ただ、別にこのシーズン2で終わってよかったんじゃないかなーという
思いも個人的にはありますね、正直。
シーズン1・2は必然の展開だったけど、どうもシーズン3への繋ぎを見ると、
続けるために無理やり今までなかった要素を足した感じがするんですよね。
まあ面白さの勢いのまま見ようとは思ってはいるのですが、
さすがにシーズン3からは微妙になる可能性があるなあと恐れてはいます。
まあそこは見てみてのお楽しみですね。

アニメ

呪術廻戦 第15~24話(原作:芥見下々、制作:MAPPA

突然の野球回! やはり野球回があるアニメは名作と言いたいとこですが、
さすがにこのジンクスがそこそこ有名である以上、
これは原作側が意図的に仕掛けてきたんじゃないかなと勝手に思っています。
まあでも実際やっぱり面白かったからよし!
京都姉妹校側のキャラクターも皆魅力的だし、先輩方は格好いいし、
鬼滅の刃とは違ったベクトルで見ていて飽きることないです。
ただ、シーズン1区切りのポイントはちょっと微妙だったというか、
続きを気にさせる終わり方ではなかったなあ。
まあそれでも続きはきっと見ると思う。そう思わせてくれる作品でした。

Dr.STONE 第二部 「STONE WARS」 第8~11話(原作:稲垣理一郎 / Boichi、制作:TMS/8PAN)

悪くはない。悪くはないのだが……。
司の話は伏線とかあったのだろうか。
確かに司というキャラクターがばんばんテレビ出演していたことには
違和感があるかもしれないが、伏線としてはいささか弱い気がする。
少なくとも自分の記憶では伏線らしい伏線はなかった気がするので、
すごい突然シナリオ誘導のための設定ぶっこんできたなというのが正直な感想。
やはり第一部と比べると化学的な面白さも弱くなっているので、
盛り上がり切らないまま終わってしまったなあという印象でした。
いや、普通に面白いんだけどね……いかんせん第一部が面白すぎた。

第1話 STONE WARS BEGINNING

第1話 STONE WARS BEGINNING

  • 発売日: 2021/01/15
  • メディア: Prime Video

マンガ

ダンジョン飯 10巻(作者:九井諒子

いよいよ狂乱の魔術師との対決回でした。
次回で終わりそうな空気感だが、どうなんだろう。
マルシルの願いも含め、今回はマルシルエピソードが多くてよかったです。
マルシル可愛い!

ダンジョン飯 10巻 (HARTA COMIX)

ダンジョン飯 10巻 (HARTA COMIX)

よつばと! 15巻(作者:あずまきよひこ

正直もう続きは出ないものと思ってましたわ(死
三年振りの新刊ということで、久々に読んだんですが、
まあ日常物なので特に繋がりとか覚えてなくても全然問題ないですね。
終わりのないのが終わり状態の作品ではあるんですが、
よつばももうすぐ小学生にあがるということで、
どこまで作者様がこの日常を描いていくつもりなのかで
本当の終わりは変わってきそう。
とりあえず出来れば一年に一冊ぐらいのペースでおなしゃす('ω')

よつばと!(15) (電撃コミックス)

よつばと!(15) (電撃コミックス)

ゴールデンカムイ25巻(作者:野田サトル

入れ墨の囚人集まりまくっている話の続き。
散らばっていたメンバーも続々集まってきたのはいいのだが、
その分今回はあまり話が進まなかったような印象もある。
キロランケ達と旅していた頃が一番好きだったせいもありそうだけど、
ちょっと話を読み進めたくなる気持ちが弱くなってきてるかも。

ブルーロック 13巻(作者:金城宗幸 / ノ村優介)

いよいよU20代表戦なので、久しぶりに11:11の試合が見れます!
というとサッカーマンガとしてどうなんだという気もしますが(笑)、
内容はやっぱり面白いです。
ついに糸師冴も本筋に絡みますしね、続きに期待!

本(小説)

推し、燃ゆ(作者:宇佐見りん)

芥川賞を受賞した本作。
推しのアイドルが炎上してしまったという、
現代ならではのシチュエーションをもとに、
今を生きる若い女性の一面に焦点を当てた作品。
生々しさや文章の熱量はただならぬものがあるのですが、
話がめちゃくちゃ面白くて惹き込まれるかっていうと、
うーん、という感じ。
もしかしたら同じくアイドルや声優のファンで追いかけているという
人にとっては物凄く共感に満ち溢れた物語なのかもしれないけど、
自分にとっては驚きとも共感とも遠く、
なんとも中途半端な距離感のまま終わってしまった物語でした。
あと本編が125Pしかないのに1400円取るっていうのは
いくらなんでも芥川賞にかこつけてあくどすぎやしないかい?

推し、燃ゆ

推し、燃ゆ

さよならの言い方なんて知らない。 5巻(作者:河野裕

いよいよ本作の舞台と隠され続けてきた秘密が明かされました。
驚きといえば驚きだけど、河野さんらしいといえば河野さんらしい、かな。
そして挑戦するテーマ性については実に河野さんらしい。
ある意味ではこの物語そのものがメタファーになりうるような構成だ。
とりあえず読み終えてようやく、
「表紙の女の子は冬馬美咲だったのか」と理解しました。
恐らく次巻かその次ぐらいに完結するのかなと思うのですが、
香屋歩がヒーローになることでどんな証明を果たし、
ゼロ番目のイドラをどう導き出すのか、
気長に続きを待ちたいと思います。

昨日星を探した言い訳(作者:河野裕

一時期、新潮のWebサイトでずっと無料公開・定期更新されていて、
毎日楽しみにしながらサイトをチェックしていた本作。
まあさすがに商業だからか、最後の方はWebサイトでは公開されず、
続きは本で読んでね的構成になっていたので、
ようやく終わりを見届けることが出来ました。
といっても結構期間が空いてしまったので最初から読み直しましたが、
実に河野先生らしい作品でしたね。
「いなくなれ、群青」程にはヒロインを信仰の対象とはしていないけど、
それでも美しさとか強さとか、あるいは弱ささえも含めて、
茅森という女の子の純粋性はいつもの河野節という感じでした。
ただ、キャラクター達が自分達で「恋人になるだろう」と明言するのは、
河野先生の作品では非常にレア。いつもは「そういう関係じゃない」と
彼らの中では整理されていることが多いので。
そういう意味ではまさに河野先生が挑んだ直球な「恋愛小説」という
ことになるのかもしれない。
星空の下、トランシーバーを握り締める女の子というのはとても象徴的で、
この表紙も含め、僕にとってはとても印象深い作品だったかなと思います。

エイプリルラブストーリー制作小話

宣伝

「ティラノゲームフェス2016メンバーズコレクション」はティラノゲームフェス2016というイベントの参加者にお声かけして作ったノベルゲーム短編集です。

僕が「この作者様の作る物語や言葉って素敵やなあ」と思う人に声をかけ、その作者様らしい色に溢れた作品が集まったものなので、自分にとってはカラフルな花束のようなイメージ。

どうか手に取っていただき、お気に入りの作品が見つかれば幸いです。
(ダウンロード不要でブラウザでそのままプレイできます)

novelgame.jp

エイプリルラブストーリーとは

エイプリルラブストーリーというのは、上記短編集に組み込むために書き下ろした自作のことです。

4月というのが作中でもポイントとなる作品なので、毎年この季節になると宣伝させてもらっています。

自分としてはとても楽しく書くことが出来たお気に入りの作品なので、こちらもよろしければ読んでみてください。だいたい30分ちょいで読めると思います。ご感想などいただけるととても嬉しいです。
というかここから先はネタバレ込みなので、まだ読んでないよ! という方は回れ右でお願いします(白目)。

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こんな作品(30~40分ぐらいで読めると思います)

制作小話

ゲーム版にはない台詞

もう公開してから4年近く経とうとしているので制作小話というのも今更な感じではありますが。

新PCに移行してから小説版(というと大仰かな。ワードで書いたバージョン)のエイプリルラブストーリーを長らく紛失していたのですが、ついこの間ひょんなきっかけで小説版を手元に戻すことが出来ました。

んで久しぶりにぱっと読み返してみたんですが、最後の日に、ゲーム版にはないこんな台詞が入ってました。

「だから君は立ち止まらず、心の望むがままに生きろ」

あれ俺、ゲーム版作るにあたってこの台詞削ったんだ、というのが結構意外でした。

まあこれにはいちおう理由があって、ゲーム版を作るにあたって全体的にあちこち文章は削っているんですね。というのも本作は日記調というスタイルであること、一日の日記ページ数が長いとだれそうという予感があったことから、実プレイ画面においても最大で2ページまでという制限をかけた訳です(そういう構成の日記を書いているというイメージ)。

だから実際のところ、他にも小説版にしかない文章というものは存在するんですが、基本的には細かい描写の排除だったり長い表現を端的に変更したりという対応だったはずなんですよ。だから台詞そのものをカットするというのは、ましてや主人公である僕君の彼女に対するスタンス、あるいは生き方そのものを表すような台詞をカットしていた、というのは不思議な感じがするなあと。

まあ今となっては意図的にカットしたのか、単純に移植作業中に入れ忘れたのかさえ定かではありませんが(死)。

ちょっと新鮮な発見だったので、面白かったです。果たしてこの台詞があった方がよかったのか、ない方がよかったのか、それは読んでいただいた皆様のご想像にお任せします。

世界の終わりと墓標

エイプリルラブストーリーは高校の時に書いた(と思う。うろ覚えだが)「世界の終わりと墓標」という短編のエッセンスを取り込んでいます。

「世界の終わりと墓標」という作品は、自分達を取り巻く現実という世界の果てに辿り着いて、そこで子供である自分達のお墓を作って引き返すという話だったんですが、今ならそれを超えていく風景を書けるかもしれないなあ、と思って取り込んだ記憶があります。

「サマー・ロビン・ガール」も高校の時に書いた「ロビン・ガール」という短編に対する、いちおう年齢的には大人になった僕からのアンサーのような作品として書いたものだったので、僕はそういう切り口で物を書くことがしばしばあるんだな、とぼんやり思ったりもする今日この頃です。

カレー

作中で出てくるチキンカレーのレシピは僕が実際に当時のバイト先の人に教わったもので、材料もいただいて作ったのですがめっちゃうまかったです。でも同じ材料(に該当するもの。まったく同じではない)を揃えたはずなのに、それ以降再現出来ていません(死)。誰か上手な作り方教えて(´;ω;`)

空白のページ

ゲーム終盤に空白のページが出てきますが、改めて読み返してもこの空白のページを入れたのはスーパーナイス演出ですね(自画自賛)。

日記を読む彼女の心理的必然性を思えば、不可欠なものであると考えています。あのページなしで最後のページがあったら、それはただ物語の為だけに存在する日記になってしまう気がするので、この日記を実際に読んでいるというリアリティはあの空白のページにこそ詰まっているように感じます。グッド!(褒められたいので自分で褒めていくスタイル)

致命的なミス

見返してみたら致命的なミスがありました(褒めたあとで落とすスタイル)。

何かフォローの単語とか入ってないかなと思ったけどなかった……いや、フォローが仮に入っていたとしても許容出来るかどうか……。気づく人は気づくかもしれないけど、物語の空気的に気づかれなさそうなので、気づいた方は生温かい目でスルーしてやってくださいヽ( ´ー`)ノ

ネーミングセンス

僕が書くヒロインはネーミングセンスに難ありという設定を持っていることが多いことに気づきました(死)。

「猫になりたい」もそうだし、本作もそうだし、そもそもしらたきという名前の猫を出したのは随分前にあってそこから既に……(遠い目)。

なんだろう、致命的な痛みにはならないけどその人なりの弱点みたいなものを表したい時につい使ってしまうのかもしれない。でも個人的に「しらたき」という名前の猫というのはとてもいいと思いますです、はい。おくゆかしい感じがする。好き。

ノベルゲームとしての表現

本作はノベルゲームにしてよかった作品だと思っています。小説版も悪くはないんですが、下記の点でゲーム版の方が優れているなと。結果、読後感がだいぶ違うというのが個人的な印象です。

  • ページをめくる音があることで臨場感が増す。
  • 日記という性質上、必要最低限の情報しか書けないので、背景画像を入れられると情報補完が出来る。
  • BGMが感情の起伏を上手に盛り上げてくれる。

小説サイト運営時代から大変お世話になっていますが、やはり「水珠」様の写真はとても心を惹きつけるものがあって僕は好きです。

shirayuki.saiin.net

「君の音。」様のピアノもいつもお世話になっています。ゲームとして考えるとループが難しいものが多いのでBGMとしては使いにくい場面もしばしばあるのですが、それでも強く心を揺り動かしてくれる旋律は唯一無二なので、ここぞという場面ではお借りした楽曲を使わせていただくことが多いですね。

flower-prayer.com

いわゆるフリーゲームはやはり色んな方の力があって初めて成立することがほとんどなので、とてもありがたい限りです。この場を借りて改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

物語における善悪

ここ数年はあまり善悪の話は書かないようにしています。結局それを「よい」か「悪い」で表現してしまうと、説教じみたものになるし、押しつけがましくなるので。

だからまあ、なるべくそのキャラクターがどう生きたのか、どう生きたいのか、を描くようにしています。本作もそういう感じ。彼らの生き方を気持ち悪いと感じる人もいるだろうし、理解出来ないという人もいるだろうし、同情する人もいるだろうし、あるいは反対に憧れるような人もいるかもしれない。

ただ、彼らはこういう風に生きたよ、というところまでを書く。そこから先は僕が表すべきことじゃない。

例えば、それって幸せだよねって書いた瞬間、物語である意義を失ってしまうように感じる。そもそも彼らが幸せなのかどうかは僕にはわからない。やっぱりそれは僕が決めることではないように思う。それを決める言葉を書いてしまった瞬間、それはもう彼らの話じゃなくて作者の主張になってしまう感じがする。そういうのは物語じゃなくて論文でやればいい。もし幸せであると信じる話だったとしても、それはそれが幸せであると信じているキャラクターを書くべきであって、幸せであると断じる物語を書くべきではない。

昔は自分が「いい」と思ったことが「いい」として伝わって欲しいという気持ちがあったんですけどね。これは果たして成長なのか、それとも単なる老いなのか。

まあそんなことを思いながら新作どうしようかなと悩む今日この頃です。にんじん色の髪の女の子と、神様嫌いな男の子の話にいい加減決着をつけたいんだけど、なかなかストーリーの整理が追い付かないっす。
とまあ、もう制作小話と関係なくなってきたのでここいらで終わっときましょう。

ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました。